2月最終週。
先週には東京でも一晩で数センチの積雪があったり、ダウンジャケットや温かいブーツを脱ぐことができない寒さが続いています。
先日、家庭訪問をさせて頂いた塾生のご実家でお借りした御手洗いのカレンダーに、枕草子の中に出てくる句が書いてありました。
そらさむみ花にまがへてちるゆきに すこし春あるここちこそすれ
この場面は、「二月つごもり」のころ。
つごもり=晦日(月末日)なので、ちょうどいま時分にあたるでしょうか。いや、旧暦だから3月末ぐらいの話かな。しかし、平安時代の住宅・被服事情からすれば3月末でもいまより寒かろうし気候変動もあろうし…厳密にはよくわかりませんが(笑)。
空が寒くて降る雪が花(梅か桜か?)に見えなくもないという季節感は、いまの体感、いや、“心もち”にぴったり沿います。春の姿も気配もまだ見えないけれども、間違いなく近づいてきている…そう信じたい、そんな思いです。
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2011年度入試は、昨日の慶応大学医学部入試をもって、私立の後期・二期入試、そして国公立二次を残すのみとなりました。
入試期間中の最繁忙期だったこともあり、また「140文字」という短い発信が気軽なツイッターを始めたせいもあり、自分でも忘れてしまうくらい長い間、ブログの更新を滞っているうちに、気づけば、2012年度入試に向けてスタートを切る受験生・保護者の方からのご相談が増えてくる季節となりました。
みなさん一人ひとり違う歴史・背景をお持ちなので、お悩みもそれぞれに固有ですから、そこはお一人ずつお答えしていますが、中には共通するものも少なくありません。
また、もしかしたら「直接相談すると、なんだか勧誘されそう」とご相談をためらう方もいらっしゃるかもしれません(笑) (念のため言っておきますが、質問にはお答えしますし、我々のアピールポイントはお伝えしますが、勧誘しませんよ。決断するのは受験生自身でないとまったく意味がありませんので。)
そこで、これから、医学部・獣医学部受験のスタートを機切るみなさんに共通するお悩みやご相談についての私どもの考え方を、この場で少しずつお伝えしていきたいと思います。
正直にいえば、未だ今年度入試を戦っている受験生たちのことからなかなか気をそらすことができないのですが、しかし、新年度=2012年度入試に合格目 標を設定した受験生のスタート時期はまさにいまですので、苦しくとも二重の人格をもって(笑)、新年度のことも語っていかねばならないと覚悟しました。
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まず、成績上位者(偏差値60程度)の受験生が、2月末を迎えるいまここでスタートしておくことができれば、余裕をもって学習計画が立てられます。 ただし、上位者にありがちな過信・慢心が原因でその後数年にわたって受験に苦しんだという話はたくさんありますから、出来る人ほど、謙虚さを大切にしましょう。
なお、当塾では成績優秀者への特待制度を設けていますので、成績には自信があるが、学費には不安があるという方はぜひ一度ご相談ください。
(医学部専門予備校は、かなりの少人数で、膨大な授業数を提供するため、大手予備校などに比べれば、学費が高く設定されています。これは追って一度詳しく述べたいと思っていますが、今日はひとつだけ。「クラス定員は大手予備校の10分の1で、学費単価は大手予備校の2倍」ということからなにが推測できるか、お考えいただければ幸いです。)
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一方、医学部や獣医学部にむけて、これから・ゼロから受験勉強を始める受験生で、来年(2012年)に合格目標を設定している受験生にとっては、「いますぐ」具体的な学習をはじめて頂きたい、ギリギリのタイムリミットが迫っています。
「これから」「ゼロから」といっても、(1)実はとっても控えめな性格なだけで、最低限の基本は入っている偏差値50~55程度の場合と、(2)文系出身だったり高校時代にまったく勉強していなかったり社会人となって受験勉強があまりにも久しぶりだったり…文字通りゼロからのスタート(偏差値は30~40台)の場合とでは、多少、状況も変わってきます。
なお、当塾には、文系出身者、大学生(在籍・休学・中退)や社会人からの再受験生、女性受験生という、医受験のマイノリティの方々が多いことは常々お伝えしているとおりですが、似た境遇の方が集まっているので、励みになることはもちろん、目標モデルを設定したり、学習進捗状況の目安にしたりとメリットが多いと思います。
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こうした再受験生の方に混じって、当然ながら、現役の高校生や、高卒の浪人生も在籍されています。
学校以外の社会を知らない彼らですが、大人の再受験生の存在や講師陣とのやり取りから、知らず知らずのうちに「社会人としての言動・ふるまいとはどのようなものか」「大人がこれだけ懸命に目指す医学部受験とはどのようなものか」を学び、おおいに刺激を受けています。
高校生にとって、大人と席を並べることに、最初はとまどうこともあるようですが、皆、すぐに慣れてしまいます。制服をきた受験生が、かなり年上の同級生に、「ここはこうなっているんですよ…」と説明している場面に遭遇すると、なんだかとてもうれしくなってしまいます。
かつて、現役高校生が多数を占めるいくつかの予備校に在籍していたことのある再受験生の方々から、「エコール麹町メディカルの生徒さん(高校生)は、本当にお行儀がよいですね」と言われますが、そうさせてくれているのは、まさに大人の受験生の存在。ありがたいことです。
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もうひとつ、医系予備校には、俗にいう「多浪生」のおにいちゃん、おねえちゃんの「先輩」たちがその場を支配し、よからぬ空気を醸し出していることが多々あります。
当塾では、多浪生の救済も使命のひとつと考えていますので、もちろん彼らを排除することはしません。しかし、彼らが「長く医学部受験界にいる」ことを理由に“ベテラン面”をするのは間違ったロジックです。
しかしながら、とりたてて若い世代は、年齢に配慮してしまうのも事実。そして、我々も、彼らの人格にはもちろん敬意を払いたい。そんなときにバランスをとってくれるのも、大人の再受験生の存在だったりします。
大学に入ってみればわかりますが、そこには、実にさまざまな背景をもった、さまざまな年齢の学生が存在します。年下の先輩もいれば、年上の後輩もいる、それが実社会というもの。この自然な「社会」の中で、それぞれがそれぞれによい影響を与えあって成長している我が校に在籍してくださっている塾生全員を、心から誇りに思います。
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ところで、受験生の命運を決めるのは、初期段階での正しい自己認識です。
現役生や高卒後まもない受験生が予備校を選択する際には、 学費負担者である保護者の方の影響が大きいので、これを保護者の方のために言いかえると、「お子様の学力と性格の正しく認識」して頂きたく思います。
子どものことを一番わかっているのは親。これは間違いありません。
しかし、子どものことを一番わかっていないのは親。これも真理です。
保護者の方や、我々という「周囲の人間」にとって一番大切なことは、受験生本人に対して、「常に最高の状態」を目指させること。前向きに、肯定的に彼/彼女を褒め、大きく包み込み、そして必要に応じて叱咤激励しながら、眠っている資質を呼び覚まして、能力以上の能力を引き出すことです。
同時に、 受験生本人の見えないところで周囲の人間がすべきことは、「常に最悪の状態」を想定して、先手先手で環境を作っていくことです。受験中に想定される最悪の状態にどのようなものがあるかについては、また追ってお話していきたいと思います。
今年度(2011年度)、通学コースの現役高校生では、指定校推薦や公募推薦などで、早期に、貴重な医学部入学の枠に入ることができた塾生が多かったのも印象的でした。
いずれの受験生も、一般入試での合格突破を目指して真剣に学習していたのが何よりも強みとなりましたが、同時に、保護者の方々が医学部 受験に対してとても熱心で素晴らしいお人柄であったことも、その成功に大きく影響していたと思います。
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なお、当塾を利用して医学部・獣医学部を目指す場合には、本科(通学)だけではなく、単科(通学)や通信科(在宅)のご用意もあります。
通信科に在籍されていた、地方在住の現役高校生・高卒生・再受験生のみなさんは、単に距離的・時間的に通学できないという事情の方もいれば、予備校には通えない別な事情のある方もいらっしゃいました。
そうしたお悩みについて、お電話やメール、ときには来校いただいてのご相談・ご指導を経て、この厳しい医学部入試を立派に突破されていく姿は、我々にとっても大きな喜び・励みとなりました。
独学で頑張っていらっしゃる方、一般的な大学受験の指導にはアクセスできるが医学部や獣医学部受験の専門指導は受けられない方などには、ぜひ通信科をご活用いただければと思います。
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久しぶりに、思いのままに綴っていたら悪い癖が出て、とりとめもなう長い文章になってしまいました。今後は、毎回小さなテーマに分けながらら、お伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
エコール麹町メディカル
渋谷本校教室長
瀬戸雅美